10月27日、第1回の再審公判が開かれました。袴田巌さんを救う会からは7人が参加しましたが、抽選で傍聴できたのは1人だけでした。傍聴した溜口さんのFacebook記事を転載します。
【袴田事件、再審開始第一回公判】
2014年のここ静岡地裁での劇的な村山判決から9年目。未だ袴田巌さんは死刑囚。天にも上るようなあの日から、沢山の支援団体もどれほど翻弄されてきたことか。無辜の人が理不尽な捜査で警察、検察に弄ばれ、精神を極限まで追い込まれた半世紀です。
本日は8時半からの傍聴券並びが始まり、決して大きくはない法廷でなんと私も傍聴券が当たり、傍聴することができました。村山決定(と言わないでください、私だけの判決ではない、とおっしゃった村山元裁判長。)を受けた後も袴田巌さんは死刑囚。非情な検察に即時抗告をされてから9年。巌さんはなんの生活の保障もないままにきたのです。
本日は「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」からは門間代表を始めとしてメンバー7人が参加。そして、11時から静岡地裁202号法廷での公判は始まりました。
重篤な拘禁症状だと認められて袴田さんご本人の出廷は免除されて、代わりにお姉さんの秀子さんの罪状認否。「1966年の静岡地裁で巌は無実を表明しました。それからの日々は艱難辛苦の日々でした。どうぞ真の自由を与えてくださいますようにお願い申しあげます。」と述べられました。
その後の弁護側の小川弁護士の冒頭陳述では、「袴田巌さんに今日のこの日に出廷できぬほどのダメージを与え続けたのは野蛮な警察、検察です。」と言い切り、「袴田巌さんが深夜1時すぎに橋本専務宅に侵入したなどの陳述はまるで違う、本件は複数の犯人によってなされたものであり、又強盗殺人事件ではありません!」とはっきりと宣言されました。さらに、私たちから見たら出来立てほやほやのような若い検察官達(1人は中年の検察官)に向かって「過去に先輩たちが起こしたことはあなた達の責任ではない。ですがどうかこれ以上の有罪立証は止めてほしい。」との呼びかけには、傍聴席からうなずくばかり。
お昼休憩を挟んだ午後には角替弁護士から証拠決定に異議申立てがありました。過去に弁護団が要請した時には雨合羽について検察側は隠してきたのに、今になって出されたことに対して異議申立てをされたが、裁判長からあっさり却下。
それからの検察官の主張は聞くに耐えない過去の証拠調べと雨合羽の細かい証言が延々と続くプロジェクター提示。弁護団からのクリ小刀や開かない裏木戸などの追及に対して直接答えるものではない陳述の数々で、裏木戸ネガを並べた表示には「正気ですか?時間稼ぎか。争点は裏木戸の隙間がどのくらい開くかなの?」と傍聴席で聞いているこちらも、検察官は恥ずかしくないのかと思うほど。いかに冤罪を生み出したかの過程を聞くような陳述は聞くに耐えず。(冤罪がまだ絶えません。ニセの犯人を仕立て上げて沢山の人々に塗炭の苦しみを与えている警察官や検察官はなぜ裁かれないのですか
)

5時までの公判後に近くの産業経済会館での記者会見では、やはり弁護団からは検察のこれまでの有罪立証の焼き直しにしかならない冒頭陳述への批判が続きました。過去の有罪立証に過ぎないことを認めた裁判所への批判や、又冤罪を生み出し続けている日本の司法制度への批判もあり、お姉さんの秀子さんから「検察の陳述を聞いたけれど、これでは裁判がいつまでも終わらないわけですね。」と明るく交わされた秀子さんの精神力に又驚嘆した次第です。公判は来年3月まで続くと思われますが、1日も早く完全無罪決定が出されますように。袴田巌さんは無罪です。(帰宅したのは23時過ぎ。毎回の公判傍聴は無理ですが、静岡まで通うことが増えそうです。)